当社代表取締役は、フランスで5年間フランス人ばかりのコンサルティング会社を経営しましたが、トップマネジメントの仕事は営業、人事、財務等々と多岐にわたり、しかも予期しないときにいろいろなことが起こるので、あたかも皿回しをしているようでした。しかし、こういったトップマネジメントの仕事にもルーチンがあるはずで、それを3つのサイクルにまとめました。それは、戦略のサイクル、ガバナンスのサイクル、現場支援のサイクルというものです。
先ず、戦略のサイクルというのは、社長の仕事が事業経営である以上、事業環境分析、あるべき姿の定義、課題設定、問題定義、解決策の策定といった事業戦略策定を中心としたサイクルです。2番目のガバナンスのサイクルというのは、戦略策定するときの株主との意識合わせ、タイムリーな資本の注入、パフォーマンスのレビュー等において株主との連携を取っておくもの、そして3番目の現場支援のサイクルというのは、戦略を策定したら現場に丸投げするのではなく、現場に目を光らせ、戦略が正しく執行されているかどうかを常に確認し、タイムリーに現場をサポートするというものです。
こういったツールを整備することが、海外での経営をより高次元のものにします。優秀な人財*に頼るだけでは海外グループ会社の経営は困難を極めるでしょう。
*: 我が社では人は財産であるとの考えから「人財」という言葉を使います。
プロジェクト事例
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1. マネジメントルーチンの導入(産業材メーカー、フランス、仏語・英語)
フランスの産業材メーカー社長が戦略を策定し、日本の株主、フランスの現場とのインターフェースを良好に保つために当フレームワークを導入しました。その後、全社のBSC (経営指標)を現場主導で策定し、株主とも共有しました。結果、財務目標を前倒しで達成しました。プロジェクト期間は2年。 -
2. 経営システムの整備・構築(ラクシャリー関連メーカー、仏・英語)
ラクシャリー関連メーカーのフランス拠点長の経営システムを整備・構築しました。マネジメントルーチンをベースとして、販売、ロジスティクスデータの保有・分析のためのフレームワークを見直し、分析結果をビジュアル化することにより、フランスの現場と日本の株主との間で効果的な情報共有が可能となり、日本の株主がフランスの状況を容易に認識し、タイムリーにフランスをサポートすることが可能になりました。 -
3. マネジメント研修での応用(日系自動車部品メーカー、欧州・北米・ASEAN、英語)
自動車部品メーカーの欧州拠点、北米拠点、アセアン拠点のマネジメントが、BSCと抱き合わせでマネジメントルーチンをスタンダードのフレームワークとして活用できるよう、マネジメント研修に含めて支援しています。